◆コラム◆相撲の面白さと「礼」
 横審委員の眼

眼の肥えた観衆

大相撲名古屋場所14日目、鶴竜を寄り切る白鵬(右)=2014年7月26日、愛知県体育館【時事通信社】

 名古屋場所も相変わらずの盛況で、満員御礼の日が5月の東京場所に続いて10日間に及んだ。相撲人気が確実に戻ってきたことを実感できる15日間であった。

 目の肥えた観衆

 観衆の反応は常にまっすぐで明快である。力のこもった勝負には惜しみなく声援を送り、勝ち負けにかかわりなく拍手がやまない。凡戦と見ればため息とブーイングが起こる。見る側の目が肥えていることは、力士が一番肌で感じているであろう。小手先のごまかしは通じないのである。場所ごとに白熱した取り組みが増えてきたのは、協会や親方衆の指導に加え、力士たちの自覚が変わってきた証拠だと思う。

 真剣勝負の迫力

 そこで、改めて相撲の魅力について考えてみた。二つ挙げたい。

 第一は、体重無差別で争う真剣勝負の迫力である。

 鍛えこんだ力士が対決し、力の限りを尽くして闘う。近頃は希少価値になってきた、力強い男らしさがそこにはある。勝ち負けがはっきりしていて、短時間に結果が分かる。僅差の判定などという、他の競技に見られる曖昧さが全くない。しかも、勝敗は一瞬の集中力の差で決まることが多いので、大一番ともなれば、息詰まるような立ち合いに衆目が集まって、場内の緊張感がいやが上にも高まっていく。まさに相撲の醍醐味(だいごみ)である。

 加えて、体の大きさや重さに関係なく、無差別級で闘っているのも魅力である。幕内の平均体重が159kgという中で、小兵力士が大型力士を倒すには、よほどの技とスピードが必要である。「小よく大を制す」妙味を示していると言えよう。

バックナンバー

新着

オリジナル記事

(旬の話題を掘り下げました)
ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ