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性別適合手術、ハードル高く 「制度不備、生きづらさに」―性同一性障害学会理事長

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性別適合手術について取材に応じる性同一性障害学会理事長の中塚幹也岡山大教授=9月8日、岡山市

性別適合手術について取材に応じる性同一性障害学会理事長の中塚幹也岡山大教授=9月8日、岡山市

 性同一性障害特例法に基づく戸籍変更の事実上の要件となっている性別適合手術は、身体的、経済的な負担などから受けられない人もいる。性同一性障害学会理事長の中塚幹也岡山大教授は、手術要件があることで戸籍変更できるのはごく一部の人に限られていると指摘し、「診療拠点の不足や保険適用などの制度も整っておらず、生きづらい社会になっている」と懸念する。

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 産婦人科を専門とする中塚教授は、1990年代から岡山大病院ジェンダークリニックで治療に携わっている。

 中塚教授によると、性別適合手術は生殖腺除去と、移行する性別に外観を似せる手術を指す。精巣や卵巣を取る生殖腺除去は、日帰りか短期入院で行うことができるが、子を持てなくなる。ホルモン生成もできなくなり、一生ホルモン療法が必須となる。

 外観手術は、女性への移行では陰茎を切除するなどし、10日ほどの入院が必要。男性への移行では、多くはホルモン療法による変化で認められるが、血栓症のリスクが高まるなどの副作用を伴う。

 ホルモンを体質的に受け付けなかったり、高血圧や心臓に持病があったりする人は性別適合手術を受けられない。体に違和感があっても、健康な体を傷つける手術を望まない人もいる。

 また、手術は2018年から保険適用の対象になったが、外見の変化など移行する性別での生活に適応できるかを見るため、先に自由診療のホルモン療法を始める必要がある。大半は混合診療となって手術にも保険適用されず、100万円前後の費用を工面できずに断念する人も多いという。

 中塚教授は「トランスジェンダーの人は見た目で分かる場合もあり、いじめやハラスメントを受けやすい。外見と戸籍が合わずに就職で苦労するなど、経済的にも厳しい状況に追いやられやすい」と指摘。「望む性別で生きたいのに、そうではない性別で生きないといけないのは、非常にしんどいことだ」と話した。

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