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後継機失敗、「総力戦」で究明 OB含め100人態勢―遅れ最低限に・H2A

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)のロゴ

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 H2A後継の新型ロケット「H3」が3月に打ち上げ失敗したのは、第2段エンジンで起きた電気系統の不具合が原因だった。基本構造が共通しており「共倒れ」も懸念されたが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は100人態勢で原因究明チームを結成。原因を一つに絞り込み切れない中で、H3固有の要因を切り分けるなどして対策を進め、H2Aの遅れを最低限にとどめた。

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 原因究明チームの実質的責任者を務めるJAXAの佐藤寿晃・事業推進部長は「電気系統に関係する部分なので、ロケットだけでなく衛星や有人宇宙部門まで協力いただいた。OBにも参加してもらい、総力戦でやっている」と明かす。

 3月7日のH3打ち上げを東京事務所で見守っていた佐藤さん。新開発の第1段エンジンが無事に燃焼し終えた直後だっただけに、「まさか(実績のある)2段で」とぼうぜんとしたという。

 飛行データの分析により、ショートが起きた可能性のある部位を数カ所にまで特定。対象範囲が狭められたことで、H2Aに影響する部分の切り分けも進んだ。佐藤さんは「(新規開発した)H3部分は設計にも踏み込まなければならず、かなり慎重に進める必要がある」とする一方、「共通部はシンプルでクリア。怪しいものはすべて対策し、信頼性を上げればいい」と判断。5月末には、絶縁や検査強化などの対策方針を打ち出した。

 H3の失敗は大きな痛手だが、佐藤さんは「信頼性向上につながる機会」ともみる。H2A運用が20年を超え、ロケット開発経験を持たない若手技術者が増える中、「不具合が起きるとシステムの深い部分まで見に行かなければならず、勉強する機会をもらった形だ」と話す。

 自身もロケット開発に携わり、「トラブルだらけ」の経験から学んだという佐藤さん。H3打ち上げ再開に向けた作業はまだ続くが、「H3に向けても、H2Aの成功は絶対条件だ」と気を引き締めた。

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