能登半島地震で被害を受けた石川県で、軽トラックを改装した移動スーパーが、食品や日用品の配達で活躍している。地元商店などが被災し、休業した被災地の高齢者らからは「玄関先にまで来てくれてありがたい」との声が上がっている。
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「こんにちは。お変わりありませんか」。輪島市の山之下吉子さん(81)は食品を届けに来た男性の声を耳にし、笑顔を見せた。
山之下さん宅は市街地から離れた住宅地にある。幸い大きな被害は出ず、地震後も自宅で生活を続けているが、地元スーパーが休業するなどし、今まで通りの暮らしはできていない。「膝は痛むし、道路には雪もある」。日々の食料調達に苦労していたという。パンや豚肉、みかんを受け取り、「感激した。本当に助かりますよ」と話した。
配送したのは、徳島県で創業した移動スーパー「とくし丸」の販売パートナー、向浩信さん(61)だ。同社は国などと連携し、被災地の個人宅や集合住宅へ食品などを無償で配布。向さんによると、届ける物資は食品が中心だが、「要望の多かった衛生用品や下着も提供している」という。
冷蔵庫を搭載した軽トラックには生鮮食品も積むことができ、同社の担当者は「軽トラで運ぶので小回りが利く。被災者の生活再建に寄り添いたい」と話している。