早くも参院選を見据える「安倍自民党」余裕の根拠
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安全保障は後回し

北朝鮮の事実上の長距離弾道ミサイルの発射に備え、展開した自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)=2012年12月9日午前、沖縄県石垣市【時事通信社】

 安倍氏の参院選対策は早すぎるという疑問も湧くが、今回の衆院選は来夏の参院選と一体のものと考えるべきだ。衆院選でどんなに大勝しようとも、参院では自民党は第1会派ですらない少数勢力である。自民党が与党になったとしても、安倍政権が提出した法案は、他党の協力が得られなければ成立しないのだ。

 このため、安倍氏としては、もし本当に首相に就任できたとしてもすぐに過激な政策を打ち出すことは控えざるを得ない。各種世論調査では、政策面で有権者の関心が高いのは、景気対策、社会保障、雇用である。つまり、これらの課題への対応が評価されれば、内閣支持率は上昇すると考えていい。これに対して、良いか悪いかという問題は別として、安倍氏が得意とする外交、安全保障、憲法改正に関する国民の関心は薄い。

 衆院解散後のある日の夜、親しい記者から、安全保障に関する法改正に着手するタイミングを尋ねられた安倍氏は、こう答えた。

 「参院選がある。そのあとでもいいかな……」

 衆院選で自公両党の勝利が予測され、政権奪還が現実味を帯びてきた。だが、首相に就任したからといって、すぐに安倍氏が思い通りに動けるわけではない。本当の勝負は来夏の参院選なのである。

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