バックパッカー街に大変身~大阪「あいりん」

バックパッカー経験を活かして

 OIGの設立者の一人で、あいりん地区で6軒のホテルを経営するホテル中央グループの山田英範社長(33)は、外国人向けホテル経営の成功に自信を持っていた。「宿泊料を2000円程度に設定すれば、外国人旅行者が増えると思った」。

 バックパッカーだった20代前半、海外の旅先で出会う人から「日本に行ってみたいけど滞在費が高い」と何度となく言われ、ひらめきを得ていた。

 しかし、宿泊料の安さだけでは、集客力は不十分だ。古い簡宿を外国人向けのホテルに再生するために、畳部屋をフローリングに替え、各ホテルにシャワー室を設け、パソコンが使えるラウンジをつくった。

 今年3月に新装オープンしたホテル中央セレーネには、バス・トイレ、ソファが全室に備えられた。クイーンサイズのベッドがあるツインルームは、タイの家族連れに人気が高いという。英語、韓国語、中国語、タイ語が話せるスタッフらが、ホテル周辺にある英語のメニュー付きのレストラン、穴場の観光スポットや交通手段を教え、接客力を高めている。

 11月初旬に同ホテルを利用したスペイン人のバックパッカー、ギジェルモ・ロドリゲスさん(29)は、「僕は潔癖症なのできれいなホテルを探した」と満足げ。夏以降、円高が進行していることもあり、「安いホテルはありがたい」と話す。

 昨年5月に新築オープンしたホテル中央オアシスは、世界各国の安宿が予約できるインターネット・サイト「ホステルワールド」で高い評価を得ている。低予算の旅行者のためにタオルやバスローブを無料で提供、宿泊者は洗濯機やキッチンも使用できる。

 「今年の夏に泊まったイギリスのラグビーチームの方たちは広いベッドに満足しているようだった」と話すのは受付係の安田尚吾さん。同ホテルの月平均の外国人客数は昨年から2倍に伸びた。

 ホテル中央グループの外国人旅行者宿泊数は昨年4万4000泊に達し、OIG設立前にあたる04年の9200泊から飛躍的に向上。今年は5万泊以上を予想している。

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