42歳母たちの「保活」

めくるめく「点数」の世界

 恥ずかしながら告白すると、30代のときに厚生労働省の取材を担当するまで、幼稚園と保育園は同じものだと漠然と思っていた。言い訳ではあるが、それだけ、子育てとは無縁な生活だった。

 幼稚園は、満3歳から就学前の児童を対象にした教育施設。保育園は、児童福祉法に基づく福祉施設で、0歳から就学前の児童を対象とする。保護者の就労や病気などの理由から、家庭で保育ができないことが条件で、「子どもに集団生活を体験させたい」といった理由だけでは、入園することができない。

 一口に保育園と言っても、同法に基づく認可を受けて設置された認可保育園(認可園)と、そうではない認可外保育園(認可外)に二分される。認可園では、施設整備や職員の資格などについて、国が定める基準を満たさなければならない。一方、認可外は、サービスの内容や保育料などを施設側が設定することができる。最近は、認可外の中でも、国とは別の独自基準で自治体が認定している施設もあり、東京都の「認証保育園」、横浜市の「横浜保育室」などが、その例だ。

 認可園には、公費が補助金として投入されており、保育料が認可外より安い。その上、国の厳しい基準を満たしているため、部屋や園庭が広く、職員数も充実。これに対し、認可外は、ビルの1室に設置されているような施設が多く、両者の差は大きいのだ。保育の需要増を受け、認可外の保育料を補助する自治体も増えているが、たとえ保育料が同水準でも、「認可園に預けたい」となるのが現状だろう。

 その認可園への入園を希望する場合、まず、市区町村への申請が必要。申し込みから入園までのスケジュールや提出書類の形式・内容、定員よりも申込者が多かったときの選考方法や選考基準は、自治体がそれぞれ決める。4月入園の場合は、前年の10月ごろから募集要項配布を開始、同11-12月に申し込みを締め切り、2月に選考結果を通知するところが多い。

 入園者の選考は、「点数制」がトレンドだ。まずは、保育を必要とする理由を点数化。理由が、親の離婚や死別、親の疾病や家族の看護・介護などの場合は、優先度が高いため、比較的高い点数とされる。

 しかし、理由で一番多いのは、やはり「就労」である。その就労は、1日の勤務時間、1週間当たりの労働日数などによって区分される。「1日8時間以上、週5日以上」のフルタイム勤務に、もっとも高い点を付け、そこから「1日7-8時間、週5日以上」「1日6時間、週4日」など、仕事量に応じて配点する仕組みを採っている自治体が多い。

 そして、追加の選考材料として、現在の養育状況や家庭環境も点数化する。認可外に預けて認可園の空きを待っている状況であれば「加点1」、就学前の兄弟姉妹がいれば「加点1」、祖父母が遠くに住んでいて、育児を手伝ってもらえない場合は「加点1」などといったイメージだ。最終的に、すべてを足した合計が申込者の持ち点となり、点数が高い順に入園が決められていく。めくるめく点数の世界である。

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